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怪しいファンドにはお気を付けください

2014/05/08カテゴリー 取材コンテンツ

1、近時の金融商品取引法・販売法の改正で、かつては規制対象外だった集団的投資スキームやデリバティブや仕組み商品なども、一部の例外を除き、網羅的に規制されるようになりました。しかし、それといたちごっこで、新しいよくわからない金融商品も次々に生み出され、被害者は後を絶たないようです。

 

そもそも、何の知識もなく勉強もせず、手間もかけずに人任せでウハウハ儲かるローリスクハイリターンの投資法など、あるわけがありません。証券会社や銀行なども、自社の利益のためなら違法すれすれで何でもやると思っておいたほうがよく(大手金融機関相手だと後で裁判所もほとんど助けてはくれません)、ハイリターンな商品ならば危険も莫大だと覚悟して、自らもしっかり研究・努力する必要があると思います。

 

 

2、かなりあくどく露骨なことをやっている業者に騙された場合でも、形式上リスクを説明した書面等が交付されていれば(わざと小さな字でごちゃごちゃ書いて読みにくくしてあっても)、口頭では全く違う有利なことばかり説明されていてもそれは証拠がないのが通常なので、被害者がそれなりの地位・教育・知識等を有していると、業者の責任はゼロとされることも少なくはなく、そうでなくとも大幅な過失相殺は免れません。

 

少しでも配当を得ていれば(それが騙すための見せ金だったとしても)、その分は満額損益相殺もされるのが一般的です。つまり、業者はやり得であり、さんざん(証拠を残さずに)騙して巻き上げておいて、せいぜいわずかな和解金等でお茶を濁せるので、違法行為への抑止力も働かないことになります(これがプロ業者対一般弱小消費者との間の大半の裁判の実態です)。判例の中には、過失相殺を先にしてから損益相殺するものもあり、そうなるとほとんど賠償額はないことになってしまいます。

 

 

3、相当名の通った証券会社が発行しているファンドの中にも、怪しいものが多数見受けられる気がします。最近相談を受けた件ですが、藍澤証券が代行兼販売会社として販売した「FCファンド・レジット不動産証券投資信託」というファンド(ケイマン法に基づいて設立されたFCインベストメント・リミテッドという良く分からない会社が管理会社となり、やはりケイマン籍のレジット・アルファという会社が発行した社債を引き受けてそのファンドに投資するという形態で、そのレジット・アルファとの間に匿名組合契約を結んだ聞いたこともない無名の多くの事業者が日本国内の優良不動産を対象に賃貸等の事業を行い、その収益を社債を経由して出資者に配当するというものですが、関与する多くの業者がそれぞれ相当の定額報酬を取得し、信託証書の受託会社{これもケイマン籍}もからませ、投資アドバイザー会社も関与するというもの)について、最初の数年は1ユニットの純資産額(販売額もこれ)は常に1万円を超え、毎月の配当額もずっと1ユニットあたり45円を維持していたので、どんどん買い増しさせられたところ、ある月に突如純資産額が3割未満にまで一挙に引き下げられ、配当額も10円にまで下げられ、その後もそのまま数年続いているということでした。

 
藍澤の弁解としては、「解約者が多く出たために、不動産を処分して返済するために、早期売却価額での評価に変えた」ということだけでしたが、その解約者は1割未満だったことは藍澤も認めており、かつ、その後もずっと下がりっぱなしなのはこのような説明では全くつじつまが合わないことも明白なのに、藍澤はいくら追及してもそれ以上の説明はできずに口をつぐんでいるということでした。

 

 

4、私は、「初めから正当な純資産額をはるかに超える金額で購入させられた蓋然性が十分ある」と考えざるを得ませんでした。藍澤の発行している同様のファンド(インドネシア、マレーシア、ベトナム、中国など多くの海外資産等に投資する)の大半(ベトナムと中国の一部は一気に3割未満まではまだ落ちておらず、3割減くらいで維持しているようですが、これも一時のごまかしかも知れません)も、同様に「途中で一挙にがくんと純資産額が落ちてそのまま」という運用成績のようですし、その蓋然性は少なくともゼロとは言えないでしょう。それらのファンドの管理会社もほとんどが「FCインベストメント・リミテッド」だそうですし、投資アドバイザー会社として関与している会社もほとんど同一グループの日本の会社です。

 

その投資アドバイザーグループのHPを見ると、藍澤が販売するファンドの大半を自ら開発・運用していることが明記されており、結局関与者すべてが初めから一体の同じ穴のムジナとして詐欺的ファンドを開発した可能性も、全くないとは言えないと思います。藍澤が全く答えないので、管理会社の代理人(日本の弁護士)に詳細な質問状を送りましたが、「会社から可能な限り回答する。藍澤が答えるべき事項もある」という回答が来たのみで、すでに半年近くなしのつぶてである点からも、疑惑は否定しきれません。

 

 

5、私があえて実名も挙げて具体的に記載したのは、今後これらのファンドについて、同様の被害者の発生を防ぎたいという、「公益的見地・目的」からです。3年近くほぼ安定した純資産価額と配当額を維持していたのに、突如「3割未満」にまで一挙に下がるというのもあまりに異常ですし、その原因についてまともな説明が一切できない(それどころか、裁判外でも過失相殺なしの和解を藍澤側から提案してきている)という事情からも、上記のように疑う「真実性の証明」も十分認められると考えます。

 

 

6、もし、同様のファンドにより被害を受けたと感じておられる方がおられましたら、どうぞ一度ご相談ください。情報交換だけでも結構ですので、お気軽にご連絡ください。